各種プログラム使用方法 PyMOL

PyMOLの使い方  

お絵描きプログラムの決定版、PyMOLの使い方を研究してみます。このプログラムは高機能な上に、PyMOLコマンドラインを使うのでとっつきにくいですが、基本を学べばそんなに難しくないと思います。このページではVer.1.1を基にして解説しています。

関連リンク

基本操作  

PyMOLは以下のExternal GUIとViewer + Internal GUIウィンドウで構成されています。

External GUI  

pymol-exgui.png
操作メニューなどはここから行います。またコマンドラインやコンソールも備えています。PDBファイルやマップの読み込み、イメージの保存、各種設定などを行う際に使います。

Viewer + Internal GUI  

pymol-ingui.png
ビュワーとオブジェクトを操作するパネル、フレーム情報などで構成されています。図を描くときにはオブジェクトパネルとコマンドラインを駆使することになります。
オブジェクトパネルに表示されているのは、座標オブジェクト選択オブジェクトマップなどがあります。そのうち、選択オブジェクトはselectコマンドで選択された原子の集まりです。描画の制御はオブジェクト名の右側のボタンで行います。

AActionオブジェクトを中心にしたり、削除したりする
SShowオブジェクトの描画方法を指定する
HHide指定した描画を非表示にする
LLabel描画した残基にラベルを付ける
CColor色に関する設定を行う

記述方法  

このドキュメントではPyMOLコマンドラインへの入力を、

PyMOL> select sel1, resi 167

というように表記します。

Selection式 -- selection-expression  

原子を選択するときに使用する式です。よく使うと思われる一部を載せておきます。なお、詳しい説明は

PyMOL> help selections

で確認できます。
PyMOLのドキュメントでselection-expressionと示されている部分にはこの式を使います。

セレクタ  

選択の基本となる単位です。このセレクタと後述する演算子で原子を選択していきます。対象とするオブジェクトを指定する場合はオブジェクト名を直接指定します。

識別子説明
name <atom names>原子名
resn <residue names>残基名
resi <residue identifiers>残基番号
chain <chain ID>Chain ID
segi <segment identifiers>セグメントID(SEGID)
elem <element symbol>原子種
ss <structure>二次構造(h,s,l)ss h+s+l
b <>= <b-factor>温度因子
q <>= <occupancy>占有率
ps. <sequence>シークエンスによる選択ps. LYK

残基名や残基番号は列挙することができます。コンマを含む式には括弧が必要になります。

(resi 91:93,105,270) -- 残基番号91〜93と105、270を選択
(resn TYR,PHE)       -- 残基TYRとPHEを選択

演算子  

selectionを組み合わせて複雑な選択を行うことができます。

論理演算
selection and selection論理積(AND)
selection or selection論理和(OR)
not selectionselection以外
集合
selection1 in selection2selection1内のselection2
selection1 like selection2selection1内でselection2の原子名または残基番号が一致するもの
距離による選択
selection gap <distance>selectionのvan dar Waals半径とvan dar Waals半径の距離がdistanceÅある原子
selection around <distance>selectionの周囲distanceÅの原子
selection expand <distance>selectionとその周囲distanceÅの原子
selection1 within <distance> of selection2selection1に含まれるselection2からdistanceÅの原子
Prot1 within 4 of (resn GLC and Prot2)
Prot2のGLCの周囲4Å以内のProt1が選択される。例えばGLCの周りの接触面のSurfaceを描きたい場合に使う。
neighbor selectionselectionに結合している原子
拡張
byres selectionselectionが含まれる残基
例) select sel1, byres (resi 10 around 4) -- 残基番号10から距離4Åの残基
byobject selectionselectionが含まれるオブジェクト
複雑な例

選択マクロ(Atom Selection Macros)  

選択マクロを使用することで原子の選択をスラッシュで区切ったシンプルな書式で行うことができます。例えば、

PyMOL> select catalytic, /protA/cat/a/241/ca

とすると、

PyMOL> select catalytic, protA and segi cat and chain a and resi 241 and name ca

と同じ効果があります。書式は以下の通りです。

/オブジェクト名/SEGID/Chain ID/残基番号/原子名

このようになってますが、前および後ろは省略できるようです。つまり、

Chain ID/残基番号/原子名
/オブジェクト名/SEGID/Chain ID/残基番号
Chain ID/残基番号

というように使用することができます。もちろん、残基範囲の指定(12-18など)も使用することができます。
SEGIDはあまり使う人はいないと(勝手に思ってますが)思いますが、CNSなどで使うATOMレコード末尾の部分で最大4文字まで指定できるそうです。まとめて選択するときに便利かもしれません。使わないときは省略可能です。

PyMOL> select catalytic, /protA//a/12-18

というようにスラッシュを続ければ省略できます。

 

PyMOL> zoom resi 241 and chain A -- Chain Aの残基番号241にズームする
PyMOL> select sel1, (resi 241-243 and chain A) or (resi 12 and chain B) -- Chain Aの241-243とBの12をsel1という名前で選択
PyMOL> select mol1-A, chain A and mol1 -- オブジェクトmol1のChain Aをmol1-Aという名前で選択

電子密度図を描いてみる  

PyMOLでは簡単に電子密度図を描くことができます。必要なものは以下のファイルです。

以上が揃ったらファイルを読み込んでおきます。ここではマップオブジェクトを2fofcとします。

メッシュで電子密度図を描く  

isomeshコマンドを使います。

isomesh name, map name, level [, (selection) [, buffer [, state [, carve]]]]

パラメータ
PyMOL> isomesh mesh1, map, 1.5, (resi 241 and chain A), 1, 0, 2
解説
マップを描く範囲はbuffer, carveで調節できます。ちなみに、buffer=1だけで描いたものとbuffer=1, carve=2で描いたものは以下のようになりました。
pymol1.pngpymol2.png
buffer = 1buffer = 1, carve = 2
これらの値を調節することで余計な電子密度が描かれなくなります。

動画を作成してみる  

xy_roll.gif

PyMOLは動画も簡単に作れます。右の図はX軸とY軸で回してみたものです。はじめの80フレームでY軸で1周させて続く80フレームでX軸で1周させています。
一連のコマンドは、

mset 1 x160
movie.roll(1,80,1)
movie.roll(81,160,1,"x")

で作成できます。全部で160フレームなのでレンダリングすると結構時間がかかります(まあ、画像のサイズが小さいので10分程度ですが)。
詳しくは、

を参考にしてみてください。
斜め回転もさせてみたいのですが・・・Pythonスクリプトが必要かな?

添付ファイル: filexy_roll.gif 2299件 [詳細] filepymol-ingui.png 2237件 [詳細] filepymol-exgui.png 2102件 [詳細] filepymol2.png 2200件 [詳細] filepymol1.png 2079件 [詳細]