PHENIX
Python-based Hierarchical ENvironment for Integrated Xtallographyと言うことです。いろいろできるらしいPHENIX。後半部のCCI AppsのGUI環境です。分子置換から位相拡張までサクッとできるということで、今回は取りあえずインストール。
ファイルの取得
ファイルのダウンロードにはパスワードが必要ですので、リクエストフォームに必要項目を入力して送信すると、パスワードが書かれたメールが届くのでファイルをダウンロードしましょう。なお、以前にフォームでメールアドレスを登録している場合、I have registered beforeにチェックを入れることで名前などの項目は省略できます。
2011年3月の段階で、最新バージョンは1.7-650ですが、プレビルド版はFedora Core3の32bitとFedora Core 14までの64bit版、およびMacOS、Windoesが用意されています。なお、ソースパッケージも用意されているのでビルドすれば何とかなるでしょう(最近のCPUで2時間ぐらいかかると描いてありますが・・・)。Vine 5.2の環境ではFedora Core3 32bitのパッケージをインストールしました。なお、ソースパッケージからのインストールも問題なく成功しました。
過去の情報(現状とは異なります)
Vine 5を使っている場合は、phenix-installer-1.x-x-intel-linux-2.6.tarをダウンロードします。また、Vine 3または4を使っている場合は、phenix-installer-1.x-x-intel-linux-2.4.tarをダウンロードします。それ以外の環境の場合は環境に適したアーカイブを使いましょう。
kernel 2.4用と2.6用で大きく違うのはlibstdc++のバージョンです。/usr/libにあるlibstdc++のバージョンが5なら2.4用、6なら2.6用を使いましょう。Fedoraなら当然2.6用です。実際2.4/2.6とカーネルで区別されているわけではないのでlibstdc++で見分けます。従ってVine 4.1でも2.4用になります。無理に2.6用をインストールしても動きません(これで結構苦労しました。wxPythonのRPMまで作ったのに・・・)。
PHENIX 1.5, 1.6, 1.7のインストール
2011-03-11 : 1.7-650のインストールを確認
バイナリインストール
インストールは標準の手順に従うだけです。以前のバージョン(1.3など)と比べてインストールにかかる時間が短縮された気がします。なお、1.5のアーカイブファイルは約300Mもあり、なかなかのヘビー級です(^^;。
初めのインストーラの展開は適当なディレクトリでOK。その後インストールスクリプトを実行するだけで/usr/local/phenix-1.5-2にインストールされます。
% tar xvf phenix-installer-1.5-2-intel-linux-2.6.tar % cd phenix-installer-1.5-2 # ./install
気になる人は最後に所有者をrootにしておきます。
# chown -R root:root /usr/local/phenix-1.5-2
インストール後.cshrcに、
source /usr/local/phenix-1.5-2/phenix_env
を追加しておきます。なお、phenix_envをCCP4セットアップよりも後ろに記述するとPhaserが走らないという問題(1.24/1.3で発生)はVine 5.0環境下では発生しませんでした。 (on 2009-10-01)
ソースからのインストール(1.7で試しました)
2011-03-11 : 追加
使用しているディストリビューションに対応する適切なバイナリが存在しない場合はソースからインストールします。必要なライブラリ等、全てがビルドされるので結構時間がかかります。なお、Core2Quad Q9650(オーバークロックで3.5GHz動作)上で5プロセスを使ったときで25分程度でした。
手順はバイナリからのインストールとほとんど変わりません。適当なディレクトリでインストールスクリプトを実行すれば/usr/local/phenix-1.X以下にインストールされます。
% tar xvf phenix-installer-1.7-650-source.tar % cd phenix-installer-1.7-650 # ./install --nproc=5
これでライブラリ等がビルドされ、インストールされます。nprocオプションはプロセス数でおそらくコア数+1あたりが適切だと思われます。
PHENIX 1.24.1b/1.3のインストール Vine 4.1
インストールは簡単。インストール時にVine 4だとintel-linux-2.6だと認識されるのでintel-linux-2.4用をインストールするためにalias_mtypeオプションをつけます。初期ファイルの展開は適当なディレクトリで構いません。インストールスクリプトを実行すると/usr/local/phenix-1.24.1bが作成され、そこにファイルがコピーされます。
% tar xvf phenix-installer-1.24.1b-final-intel-linux-2.4.tar % cd phenix-installer-1.24.1b % sudo ./install --alias-mtype=intel-linux-2.4
これでOK。
インストールの時、
generating and scaling electron density maps from PDB files
という処理が延々と(30分ぐらいだと思います)続きますが、我慢して待ちます。
インストール後、.cshrcにでも
source /usr/local/phenix-1.24.1b/phenix_env
を追加します。この後落とし穴にはまりましたので、注意してください。
落とし穴にはまる?
最近のリリース(1.5以降)ではおそらく発生しません。
ってことで、PHENIXを設定した場合の問題。
すべての環境で起こるかどうかはわかりませんが、私の環境Vine 4.1では発生しました。それは、PHENIXの環境ファイルを読み込むとPhaserが走らない!!というもの。mtzはちゃんと認識しているのにプログラム中でMTZファイルを読み込むときに、
FILE OPENING ERROR: (mtzファイル名)
というのがログに書き込まれて一瞬で処理が終わります。
実行をトレースしてみると、PHENIXのライブラリを読み込んでる辺りがどうも怪しいので、試しに.cshrcからphenix_envの行をコメントアウトして同じインプットファイルでPhaserを流したら問題ありませんでした・・・
どうやら、PHENIXにもPhaserが含まれていて、そのPhaserを実行した場合この問題が起こるようです。そのため、.cshrcでCCP4の設定ファイルよりも先にPHENIXの設定ファイルを読み込む設定にしたら問題は解決しました。でもそうするとPHENIXを実行したときに問題が発生するかも?(またPHENIXを使ってないので不明)
CCI Apps
Development release of the subset of Phenix components developed by the Computational Crystallography Initiative (CCI) at LBNL. Command-line tools only (e.g. phenix.refine, phenix.hyss, elbow.builder, mmtbx.xtriage). The Phenix GUI is not included.
つまりPHENIXのコマンドラインツール集ってことなのかな。
- 2009-10-01現在、
だそうです。Separate distribution of the CCI Apps package has been discontinued; please use the nightly builds of PHENIX instead.
ダウンロード
- http://www.phenix-online.org/download/cci_apps/ -- Download site
- このページのconfirmという部分を探して、ユーザ情報を入力します
- メールにてパスワードが届きます
- そのパスワードを持った状態でもう一度、このサイトに来て「ダウンロード」ボタンを押します
プラットフォームによってダウンロードするファイルが異なります。Vine 4.0ではRedHat 8.0/Python 2.5を選択します。ただし、Vine 4ではPython 2.4なので動作検証が必要ですね。
インストール
Perlのインストールされている環境であれば以下のコマンドを打てば勝手にインストールされるようです。
perl cci_apps_redhat80_py25.selfx
※適宜、cci_....selfxの名前は置き換えてください。
※ディレクトリは空のものを準備してそこに.selfxファイルを置き、上記コマンドを実行します。