COOT
最新版 | 0.6 / 2009年12月4日 |
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対応OS | Linux, MacOS, Microsoft Windows |
種別 | Model building |
公式サイト | http://www.biop.ox.ac.uk/coot/ |
使い易いインタフェースを備えたモデルビルディング用プログラムです。基本操作は非常にわかりやすいため、初めてでもあまり違和感無く使いはじめることができます。基本操作を解説したマニュアルも用意されており、一通り読めば十分に使いこなせるようになるでしょう。簡単なだけではなく強力なスクリプト機能も搭載しており、ルーチン作業などをスクリプトにしてしまうことも可能です。APIも用意されており、他のプログラムから操作することもできるようです。
精力的に開発が進められているようでバージョンアップの頻度は高いです。そのためCCP4のパッケージに含まれている
バージョンが古いことがあり、後から単独でインストールするのをおすすめします。なお、0.5以降のCootではgtk2インタフェースが標準になりつつあり、RedHat8またはUbuntu以外では操作性が変わりました。私はVineなので未だにgtk1のインタフェースですがその他はgtk2に変わっています。RedHat8リリースがなくなるとちょっとめんどくさいなぁ・・・
- 2009/12/04 -- ついに0.6がリリースされました!
- 2008/12/16 -- 0.5.2はちょこちょこバグフィックス等されていそうなので0.5を使っている人はアップグレードした方がいいかもしれません。
- 2008/12/25:0.5.2(RedHat8版)ではGTK1のバグによりFit loopおよびREFMACを呼ぶときに落ちます。pre-releaseのrevision 1716で修正されました。
- http://www.ysbl.york.ac.uk/~emsley/software/binaries/nightlies/pre-release/からcoot-0.6-pre-1-revision-1716-binary-Linux-i386-redhat-8.0.tar.gzあたりを使えばいいと思います。
Change logっぽいもの
詳しい内容はリリースノートを確認してもらうとして、ちょっとだけメモ程度に残しておきます。
0.5.2
- バグフィックスのみ(Fix annoying shift-key-labels-atoms bug.)
- Python 2.6になってますね
0.5.1
- 0.5から操作性を向上させる改良がいくつか追加されたようです。
- Extensionsメニューが階層に分けられた
- The chi angle bond highlighting works again その他のバグフィックス
- Atom elements are inferred from the atom name と書いてあるのでCNSでの出力後のPDBSETが不要
- コードネームがUenoからUnenoになった。上野→畦野(兵庫県川西市)? (いやTypoだろう・・・)
0.4.1 -> 0.5
- いつの間にかダウンロードディレクトリにWinCootも入ってました。Windowsユーザーはどうぞ
- Preferencesダイアログ
- PDB v3.0互換(代わりにv2への互換性がなくなったそうです)
- Additional Representations (特定の残基の表示方法を変える)を追加
- 精密化用"Fixed Atoms"の導入
- モノマーのリストレインをGUIまたはスクリプティングレイアで編集可能
- ディファレンスマップを作れるようになった
- モデリングコマンドボックスが普通の色になった(redhat8版;0.5.2では修正済)・・・
- COOT MLによるとどうやらGTKの問題らしいです。fixされたcootrcが出ました -- 2008-09-26
- http://www.ysbl.york.ac.uk/~emsley/software/fixes/のcootrcをCOOTディレクトリ/share/coot/cootrcと入れ換えて下さい。
- GUIのツールキットがGTK2に移行しつつあります・・・
など。
ちなみにスプラッシュウィンドウ(起動時のウィンドウ)はCootが寿司をつついています
開発コード名の謎
リリースノートをぼけーと見てたら開発コード名も書いてあることに気がつきました。それにしても何でしょう、これ・・・
Release | Code name |
0.5.2 | Uneno |
0.5.1 | Uneno |
0.5 | Ueno(上野?) |
0.4.1 | Kendall^2 |
0.4 | Kendall |
0.3.3 | The Early Bird Catches the Bugs |
0.3.2 | Don't Bet on the River |
0.3.1 | Another Basil Grande? |
0.3 | Basil Grande |
0.2 | Arashiyama Park(嵐山公園?) |
0.1.2 | Athenian Bride |
0.1.1 | New Groom |
0.1.0 | New Broom |
0.0.32 | Oranger Hat |
0.0.31 | Anniversary (Indian Hat) Release |
0.0.30以前はコード名はないようです。これより前のバージョンはしょっちゅうリリースされていたのでまだβ版だったということでしょうか。ま、別になんてことはありませんが。中には日本の地名と思われる名前も・・・
使ってみた
0.5をちょっとだけ使ってみました。CNSで処理後に出力されたPDBを読み込んだときに分子が灰色になりました。どうやらこのバージョンからPDBのELEMENTカラムを読み取るようになったようです(77,78桁目のフィールド;COOT MLにも同様の問題提起がありました:2008-09-26)。CNSで出力されたPDBにはELEMENTカラムが出力されないので原子種が認識されずにそのようになっているようです。
とりあえずCCP4のPDBSETでフォーマットを整えたところ、ちゃんと表示されました。ちょっとめんどくさい・・・
% pdbset xyzin refine.pdb xyzout refine_ccp4.pdb <<EOF EOF
これでELEMENTカラムが追加されたrefine_ccp4.pdbが作成されます。
しばらく使ってみましたがちょっとした問題。Edit chi anglesで0.4.1では選択中の結合が緑色にハイライトされましたが、0.5ではされないようです。MLによると0.5.1では解消する予定らしいです。
なお、0.5.2ではELEMENTカラムを参照するという仕様は以前のものに戻り、CNSの後にPDBSETをしなくてもいいようになったようです(結構MLでも話題になってたからなぁ・・・)。
2008-10-09:WinCootを使ってみました。Linux版になれているせいか若干動きがもたつくような気がします。ちなみに私の環境ではLinuxよりもWindowsの方がグラフィックスもCPUも高性能なんですが・・・でも、なんかインタフェースの外見が親切になってる気がしますね。
関連ページ
- インストール
- COOTを使ってみよう
- 01 COOTで行こう! -- 2008-09-11 (木) 17:11:38
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- クックブック -- 2012-01-23 (月) 18:02:15
引用文献
Emsley P, Cowtan K.
Coot: model-building tools for molecular graphics.
Acta Crystallogr D Biol Crystallogr. 2004 Dec;60(Pt 12 Pt 1):2126-32. Epub 2004 Nov 26.
外部リンク
- 公式サイト -- http://www.biop.ox.ac.uk/coot/
- メーリングリスト -- http://www.jiscmail.ac.uk/lists/coot.html
- Installing Coot on OS X -- http://xanana.ucsc.edu/~wgscott/xtal/wiki/index.php/Installing_Coot_on_OS_X
- Coot for Windows -- http://www.chem.gla.ac.uk/~bernhard/coot/wincoot.html