COOT基本のキ  

まずはCOOTの基本的な使い方をまとめてみます。
この章で目指すこと

最低限この機能が使えればモデリングはできるはずです。

参考サイト
横浜市立大構造科学研究室 -- 「COOTの使い方」に橋本博氏がまとめたCOOTのチュートリアル(PDF)があります。実際の画面がたくさん使われておりわかりやすいです。

座標、マップの読み込み  

とにかく座標と電子密度がないと始まりません。座標ファイルはPDB形式、電子密度図は位相情報をもつMTZファイル、CCP4形式およびCNS形式のmapファイルに対応しています。なお、位相情報がないMTZファイルでも、モデルを読み込んでいればモデルとMTZから電子密度を計算してくれるようです。

内容ファイル形式
モデル座標PDB、SHELX(ins,res)
電子密度MTZ(位相情報付き)
CCP4形式map
CNS形式map(読み込みに多少時間がかかる)
MTZ(位相情報なし;モデル分子とあわせてREFMACで計算してくれる)
SHELX(fcf);sigmaAで計算するので読み込みに多少時間がかかる

モデル分子の座標を読み込む  

[File] -> [Open Coordinates...]でファイル選択ダイアログが開きますので、読み込みたいPDBファイルを選択します。その他、[File]メニューでは以下の方法でもモデル分子を読み込めます。

Get Monomer
モノマー分子をインストールされているCCP4のライブラリから読み込みます。
SMILES
使ったことはありませんが、WikiPedia.ja:SMILES記法からモノマー分子を作ってくれるような気がします。
Get PDB using Accession Code
PDB IDを指定すればPDBサイトからその分子を取得してきます。

電子密度を読み込む  

[File] -> [Auto Open MTZ...]、[Open MTZ, mmCIF, fcf or phs...]、[Open Map...]で開きます。それぞれのコマンドの違いは以下のようです。

Auto Open MTZ
MTZを開くときに2Fo-FcとFo-Fcを自動的に割り当ててくれます。
Open MTZ, mmCIF, fcf or phs
MTZを開くときにラベルなどの割り当てを指定できます。また、COOT上でREFMACを使うときはこのコマンドで[Assign Labels for Refmac?]にチェックを入れる必要があります。mmCIF、fcf、phsは開いたことがないのでわかりません。
Open Map
CCP4形式のmapファイル、CNS形式のmapファイルを開きます。CNS形式の場合は自動で変換してから開くので開くのに多少時間がかかります。何度も開くような場合はMAPMANなどであらかじめCCP4形式に変換しておいた方がいいかもしれません。

SHELXで使う  

2011-05-18:追加

確認バージョン 0.6.1

0.6あたりのCOOTではSHELXのresファイルやfcfファイルも読み込め、insファイルの書き出しができるので、SHELXで精密化を行うときにPDBファイルでモデル修正→resファイル + PDBでアップデート、をSHELXPROで行う必要がなさそうです。ただ、Occupancyの値がSHELXベース(?)なのでその辺りが不便かも・・・
SHELX初心者なのでよく分かってませんが、試していこうと思います。

基本操作  

表示する視点の操作はマウスで行います。

通常時  

左ドラッグモデルの角度の変更
Ctrl+左ドラッグモデルの並進
右ドラッグ拡大率の変更(下、右:拡大、上、左:縮小)
Ctrl+右ドラッグZ深度の変更
ホイール操作電子密度のσ値の変更

分子選択時(Rotate/TranslateやEdit Chi Anglesなど)  

左ドラッグモデルの角度の変更
選択分子の移動など
Ctrl+左ドラッグ選択した点を支点としてモデルの回転

モデリングの基本  

いろいろ機能はありますが、まずは基本的なモデリングをするために[Calculate] -> [Model/Fit/Refine...]を選択します。するとカラフルなボタンが付いたウィンドウが開きます。モデリングの大部分はこのウィンドウのボタンをクリックして行います。それぞれのボタンの意味をまとめておきます。

ボタン内容
Refine/Regularize Control...角度のリストレインを指定できます。αヘリックスやβストランドが指定できます
Select MapReal Space Refineなどで使用するマップを指定します
Real Space Refine Zone電子密度にあわせて残基などを精密化します
Regularize Zone角度などの制限をきつくした状態で精密化します。Real Speceでバラバラになる場合に使っています
Rigid Body Fit Zone原子同士の相対位置を変えずに電子密度に合わせます
Rotate/Translate Zone回転、並進を行います
Auto Fit Rotamerアミノ酸の側鎖を電子密度に合わせます
Rotamers...(おそらく)よく現れる側鎖の配置を一覧で表示させ、変更しながら電子密度との一致を見ることができます
Edit Chi Angles側鎖の角度変更を行います
Torsion Generalアミノ酸以外で、CIFファイルが無いような分子の結合角を操作します
Flip Pepriteペプチド結合をフリップします
Sidechain 180 Degree FlipHisなどの180度ひっくりかえします
Edit Backbone TorsionsCα鎖の角度を操作します
Mutate & Auto Fit...アミノ酸残基を別の残基に変更し、その後電子密度に合わせます
Simple Mutate...アミノ酸残基の置換のみを行います
Find Watersσの値などを指定することで、水分子と思われる電子密度を見付けます
Add Terminal Residue残基を末端に追加します(N末端でもC末端でも)
Add Alt Conf...alternateコンフォメーションを追加します
Place Atom At Pointer現在のポインタの位置に原子を置きます
Clear Pending Picksよー知りません(--;、多分Find watersで拾ったblobをクリアするのだと思います
Delete...残基や原子などを消去します
Undoひとつ前の操作を取り消します
RedoUndoを取り消します
Run Refmac...REFMACによる精密化を実行します