使用する手順
- mosflmを起動
- インプットファイルの読み込み
- Peak search
- Auto Index
- Cell refinement リファインメント
- 積分
- スケーリング
項目別マニュアル
起動
まずはmosflmの起動(mosflmのインストールしてあるUNIX/LINUX環境にて)
%mosflm
または
%ipmosflm
を実行。
input fileの読み込ませ
MOSFLMが起動するとコマンドプロンプトが変化する。
補足
MOSFLMも回折イメージ測定中に「追っかけ積分」(俗称)が出来る。詳細についてはMOSFLM for Maniasページ参照。
Peak search
さて、データ処理(点々の強度積分)するにはまず回折強度データを指数付けが必要。
指数付けについては各自本を読んで勉強すること:-)。
その指数付けをする「Auto Index」というMOSFLM上での処理が必要。
そのために回折イメージ上の点々位置情報を
得る必要がある。
手順
以上。なんて簡単なんだ。
こだわりのPeak Searchをしたい人は MOSFLM for Maniasページ参照。
Auto Index
セッティングパラメータの一部を決定する作業。
- 空間群(ブラベ格子)
- 格子定数
- 結晶がX線に対してどの方向を向いているか?→結晶の配向と呼ぶ
これはデータ処理をする上で最も重要な作業。HKL2000は他のデータ処理プログラムと比して特にこの機能に優れている
といわれている。
手順
- [Autoindexing]ボタンを押す
作業は以上だが、以下のブラベ格子選択という命がけの作業が必要。Autoindex後、別窓が起動してきて
- Bravais Lattice
- Penalty
- Cell parameter
などの値が示されているはず。
Peak searchで拾った信頼できるピークを使って計算したセッティングパラメータの一部と実験データの一致度が
示されていると考えてよい。計算結果は色分けして表示され、
- 「緑」に色がつくと「うまいこといってる」
- 「黄色」はない(ぷ)
- 「赤色」はまずい
という感じ。 確認するべきこと
- 格子定数が異様に小さい値ではないか(分子量から大体の分子の大きさは分かるはず)
- P monochrinicのペナルティーすら悪くないか。
この二つがよければまぁ、一度、この時点で回折イメージとHKL2000の予想している回折点の一致度(位置)をチェック
することをお薦めする。
- まずはペナルティーが小さいそれっぽいブラベ格子を選択する。
- [Display]ボタンでイメージを表示(別窓プログラムXDISP起動)
- XDISP上[Predict diffractions]をクリック。
以上でHKL2000が「こうじゃない?」と思っているセッティングパラメータから予想した回折点位置を表示してくれる。
表示されている回折点位置(prediction; プレディクション)と実際の回折イメージ上の点の位置を目で見る。
「大体合っているなぁ」と思ったら以下のパラメータリファインメントへ進む。
パラメータリファインメント
Auto Indexで決定した「ラフな」セッティングパラメータを「きっちり」決める(と言っても最終値を決めるわけでもない)
ために精密化を行う。
GUI左下のほうにあるパラメータのラジオボタン(1回押すとへっこんで、2回目押すとあがるボタン)を
「チェック/チェックしない」によって精密化するパラメータを選択。
- BEAM X,Y
- CELL
- CRY ROTX/ROTY/ROTZ
- MOSAICITY
- DISTANCE
など色々あるが、大体の場合「Fit All」として[Refine]ボタンを押すだけで問題なくフィッティングがかかる。
リファインされたパラメータはGUIの右上の方に数値として表示されるので少なくともカメラ長や格子定数などが
変になっていかないか見ておくこと。
うまく行かなかった(predictionが観測データとずれていく etc.)場合はAuto-indexをやり直し(Abort refinement)
分解能領域(左上のresolution rangeで指定)を変えて(広角側の反射を使わずにやってみる etc.)やり直し
それでうまくいったらちょっとずつ広角側の分解能を高くしていく。
このような作業をやっているときに有用なパラメータが χ2。HKL2000-Indexタブの右上の方に出ているはず。
この値の色が緑なら良いパラメータが得られている、オレンジはまぁまぁ、赤はあかん、という感じ。
χ2はHKL2000の予想している反射位置と実際の反射点の位置のずれの大きさを示している。良い処理は 1.0 以下になる。
だいたいの場合、このような作業が必要なのは低品質結晶(結晶が割れているか複数入ってる)。
IPを用いたデータ処理をする場合、mosaicityのリファインメントは通常オフ。
積分
いよいよ、回折イメージを積分。積分は「イメージ上の黒い部分を数値化して足し合わせて各反射の強度を見積ってる」と
考える。
HKL2000の[Integration]タブで[Integration]ボタンを押す。以上終了。処理プロセス中、見ておかないといけないのは
- cell, mosaic, orientation, chi^2の値の推移(上記参照)>大きすぎない?
ということ。下のほうに推移のグラフがフレーム番号を横軸にプロットしてあるのでそれを参照すること。
スケーリング
積分によって得られた反射強度(各反射点の黒さ加減)をイメージ間やイメージ内でスケール合わせうする作業。
この作業によりデータのよしあしが大体判断可能。
中身でやっていることは
この際、等価な反射強度どうしがどれくらいのばらつきを持っているか?というRmerge/Rsymmなどの名称で呼ばれる
統計値でデータのよしあしを判断。
手順
- 空間群の設定(不明な場合は現在のブラベ格子で最も低い対称の空間群で)
- 分解能の入力(欲しい分解能をいれちゃってOK)
- 位相決定をするデータ(SAD/MAD法)ならば[scale anomalous]/[anomalous]ラジオボタンを押しておく。
- absorption correctionをするか否か(S-SADなどの特殊な方法ではお薦めできないケースも)
- 2回目以降は[include reject]ラジオボタンをへこませておく。
- [Scale set]ボタンを押す
以上。