COOT Extensions
COOTの隠れた(?)便利機能満載のExtensionsメニューを使ってみます。この辺はおそらくバージョンごとにかなり異なっていると思うので注意してください。対象となるバージョンは0.5.2です。
なおここで解説してある他にもまだまだ機能はあります。いろいろ試してみると幸せになれるかも(不幸なときもある・・・)。
All molecule
PostMRコマンド群
分子置換後の自動精密化コマンドです。COOT 0.5.2からはExtensionsが項目にわかれるようになったのでPostMRという分類が作成されました。それまでのバージョンではコマンド名に[PostMR]とついています。使う前にフィッティング対象となる電子密度をSelect mapで選択した後実行します。開始すると位置残基ずつフィッティング実行されます。スタートしてしまうと完了するまで停止できないので注意!
自動で全部の残基のフィッティングを行うためそこそこきれいな電子密度が求められます。また、主鎖が大きくずれてるとあまりよくない結果になるかもしれません。私の場合はMOLREP or PHASER -> REFMAC Rigid body -> REFMAC Restrainedを実行した後に、Stepped refineを実行してからRefine/Improve Ramachandran Plotをしています。また、R値が微妙に落ちにくい時(30%前後)にはコンポジットオミットマップを基にして同様のことをしたら多少(1-2%程度)、値が下がりました。
試してみた
くるくると電子密度を回しながらRotamerを当てはめていく様子は見ていて楽しいのですが、結構ぐちゃぐちゃになります 。REFMACを流しても改善されませんが、CNSなら多少補正されました。ラマチャンドランプロットが相当崩れましたのできれいな電子密度を使わないとダメな気がします。使いものになるかどうかは・・・微妙 。
試したデータ:分解能3.6A, 750残基 x 3。データはかなり悪い(Overall R-merge > 10%, Comp. = 90%)。
試してみた(ちょっときれいな電子密度) -- 2008-12-22
以前よりもだいぶましな電子密度が得られたデータでPostMRを試してみました。モデル分子もそのものなのでほとんどいじるところはありません。こんな状態で、Stepped Refine -> Refine/Improve Ramachandran Plotを実行しました。
この状態だと効果ありです。微妙にずれている残基をさくさく直してくれるので後の作業が楽になりそうです。Stepped Refineだけではラマチャンドランが多少崩れますがRefine/Improve Ramachandran Plotをすればほとんど修正してくれます。
試したデータ:分解能2.5Å, 140残基 x 16。データは良くはないですがひどくはない(Overall R-merge 9%ぐらい)。
[PostMR] Fit Protein
結構ガシガシ合わせにいきます。たぶんリストレインをかけずにフィッティングしているのだと思います。
[PostMR] Stepped Refine
Real space refinementを3残基ごとに実行してくれます。Fit Proteinほど危なげがないです 。使うときにはRefine/Regularize ControlでRamachandran Restrainsを効かさないと大変なことになるかもしれません。
Refine/Improve Ramachandran Plot
ペプチド結合を修正します。一度流すと選択した分子の全ての残基を修正するので注意が必要ですが、側鎖は基本的にはいじらないので(見てたら少し修正されているのもあった)、そんなに大変なことにはならないと思います。修正が始まると終わるまでは何もできませんので大きい分子の場合は注意してください。1残基1秒程度で処理されますが1500残基ほどあると30分ぐらいかかります。
Maps
Mask Map by Atom Selection
指定された残基番号の電子密度を使ってマスク用のマップを作成します。
Copy Map Molecule
指定したマップをコピーします。Contourを変えてマップを重ねたいときに便利。
Export Map
指定したマップをファイルに書き出します。
Brighten Maps
表示している電子密度の色を一段階明るくします。ちょっと見にくいなーというときにどうぞ。
Set Map is Difference Map
指定したマップをディファレンスマップとして扱います。位相付きMTZファイルで電子密度を描いたときは、Fo-Fcマップをちゃんとディファレンスマップとして認識してくれますが、CNSのマップの場合は認識してくれません(2Fo-FcもFo-Fcもファイル形式に差はありませんしね)。この時、マイナスの電子密度とプラスの電子密度を色分けして表示してくれます。
Another Level
指定したマップを複製し、レベルを変えて描画します。おそらくCopy Mapしてレベルを変えるのと同じ。
Multi-chicken
(なぜMulti-chickenと言うのかはわかりませんが)10段階でσレベルの異なったマップを作成してくれます。選択したマップの中身をレベルを変えながら表示させるので電子密度の濃さがなんとなくわかります。マシンパワーの低いPCではつらいかもしれません。
Representation
Ball & Stick
指定された残基をボール&スティックで描画します。指定は//A/1-2というように//(Chain ID)/(Start)-(End)の形式で入力します。
Dotted Surface
指定された残基の原子にドットで表現された表面を描画します。残基の指定方法はBall & Stickと同じです。
Label All CAs
全てのCα原子にラベルを表示します。
Settings
Rotete Translate Zone
Rotate/Translate Zoneで分子を回転させるときの回転中心の位置を設定します。
- Fragment Centre -- 分子の中心
- Second Clicked Atom -- 選択時に2度めクリックした原子(ディフォルト)
Save Dialog Positions
開いたダイアログボックスの位置を記憶します。