#navi2(構造解析ことはじめ)
#floatcontents
* 多波長異常分散(MAD)法 [#c7b074f1]
まずはMAD法を用いた位相決定を行ってみます。MADによるデータ測定は重原子誘導体を用いたり、Se-Met変異体を用いたりします。今回の例ではSe-Met変異体を用いています。ここで用いるのはPDBに登録されている[[''2DSY''>http://www.pdb.org/pdb/explore/explore.do?structureId=2DSY]]を解析した際のデータです。~
MADに関する詳しい解説は・・・適当に調べて下さい&huh;。
** 使用するファイルたち [#uaf6f34f]
回折イメージから用意しても大変なので(3GBほどになりますしね)、それを処理したファイルを使用します。~
ここでの処理はHKL2000とSCALEPACKを使用しています。~
- &ref(2dsy-mad.tar.gz); -- ファイルサイズ約4MB
ファイル構成は以下の通り
2dsy
+--- scales/
| 01peak_P21_190ano.sca -- ピーク波長
| 01peak_P21_190ano_nomerge.sca -- Unmergedファイル
| 02edge_P21_190ano.sca -- エッジ波長
| 02edge_P21_190ano_nomerge.sca -- Unmergedファイル
| 03remo_P21_190ano.sca -- 低エネルギーリモート波長
| 03remo_P21_190ano_nomerge.sca -- Unmergedファイル
+--- solve_merged -- マージ済みファイルの解析
| solve.com -- 実行スクリプト
| sequence.txt -- シークエンスファイル
+--- solve_unmerged -- Unmergedファイルの解析
solve.com
sequence.txt
- Peak : 0.9791Å / Edge : 0.9794Å / Low remote : 0.9815Å
これらの測定データを解析して位相決定を行うことにします。Unmergedデータの効果を調べるためにSCALEPACKで処理する際に''no merge original index''オプションを付けて処理したファイルも用意しておきました。(参考:SOLVE RESOLVEを使ってみよう)
** 使用するプログラム [#e7b28779]
ここではPHENIX 1.24.1bに収録されているSOLVE/RESOLVEを使用します。PHENIX 1.3または単体のSOLVE/RESOLVEでも大丈夫だと思いますが、インプットファイルを少し修正する必要があります。
** 位相決定&モデル構築 [#w2029d29]
*** 何をするか [#de929f30]
SOLVE/RESOLVEについては[[解説ページ>SOLVE RESOLVE]]を参考にして下さい。つまり、SOLVEで初期位相を決定してRESOLVEで位相改良を行いつつモデル構築を行います。MADというと結構難しそうですが(少なくとも私には謎の位相決定法というイメージがあります)、データがよければSOLVE/RESOLVEであっさりモデル構築ができてしまいます。~
なお、今回の位相決定&モデル構築はSOLVE/RESOLVEをPentium Dual 1.8GHzのPCで行って30分未満でした。
*** インプットファイル [#o5ce5b1c]
[[SOLVE RESOLVEを使ってみよう]]のページを参考にするとわかりますが、SOLVE/RESOLVEはスクリプトファイルを実行させます。アーカイブにあらかじめ用意したスクリプトファイルが収録されていますので内容を確認しましょう。
:solve.com|
PHENIX 1.3を使用する場合は/usr/local/phenix-1.24.1bの部分を自分の環境に合わせて下さい。~
通常のSOLVE/RESOLVEを使用する場合はphenix.solveをsolveに、phenix.resolveをresolveに、symfileの部分を/usr/local/lib/solve/p21.sym(環境に合わせる)に変更して下さい。
#!/bin/csh
# Title : 2DSY MAD
# SOLVE
phenix.solve <<EOD
title - 2DSY MAD dataset
symfile /usr/local/phenix-1.24.1b/ext_ref_files/solve/p21.sym # Symmetryファイル
cell 38.996 62.739 67.619 90.0 109.659 90.0 # 格子定数
resolution 2.2 20 # 使用する分解能
logfile solve.logfile # ログファイル
mad_atom se # 重原子名
refscattfactors # 原子散乱因子の精密化を行う
readdenzo # DENZO(.sca)ファイルを読み込む
unmerged # Unmergedファイル
#premerged # マージ済みファイル
lambda 1 # 1つ目の波長
rawmadfile ../scales/01peak_P21_190ano_nomerge.sca # 使用するscaファイル
wavelength 0.9791 # 波長
fprimv_mad -7.6521 # f'
fprprv_mad 3.8412 # f"
lambda 2 # 2つ目の波長
rawmadfile ../scales/02edge_P21_190ano_nomerge.sca
wavelength 0.9794
fprimv_mad -9.7934
fprprv_mad 3.8438
lambda 3
rawmadfile ../scales/03remo_P21_190ano_nomerge.sca # 3つ目の波長
wavelength 0.9815
fprimv_mad -5.7805
fprprv_mad 0.5011
nres 348 # 非対称単位中の残基数
nanomalous 12 # 非対称単位中の重原子の数
scale_mad # MADデータのスケール
analyze_mad # MADデータの解析
solve
EOD
# RESOLVE
phenix.resolve<<EOD | tee resolve.logfile
solvent_content 0.357 # 溶媒含量
seq_file sequence.txt # アミノ酸配列ファイル
EOD
:sequence.txt|
>2DSY(87res)
MDGMGTLTRYLEEAMARARYELIADEEPYYGEIPDLPGVWATGKSLKECEANLQAALEDWLLFLLSRGETPP
PLGEVRIELPHGEAA
これらのファイルを準備して実行すれば解析が行われます。うーん、簡単。
*** SOLVE/RESOLVEの実行 [#x4f245f3]
それではいよいよ解析します。作業は2dsy/solve_mergedまたは2dsy/solve_unmergedディレクトリで行います。PHENIXまたはSOLVEのセットアップを行った後に実行します。
% cd 2dsy/solve_unmerged
% ./solve.com
これだけです。得られたモデルはresolve.pdbに書き出されています。mergedとunmergedの結果を比べてみて下さい。~
また、精密化後の最終構造はPDBから取得可能です。
** 次に何する? [#j9b801ad]
無事に初期構造が決定されたら、次は電子密度図を見ながらモデル修正を行います。構造の中でもループ部分のようにゆらぎが大きい部分は自動で構築できないので精密化をしながらモデルを組んでいきます。~
また、自動でモデル構築を行ってくれるCCP4のARP/wARPなどのプログラムを用いてRESOLVEで構築されなかった部分の自動構築を試してみるのも一つの手です(効果があるかどうかはわかりませんが・・・)。
** 応用 [#t2d48732]
自分の構造を解析する場合に修正する場所はあまり多くありません。高度なオプションを使わなければsolve.comを修正して使用することができます。
- SOLVE
-- symfile -- 空間群
-- cell -- 格子定数
-- resolution -- 使用する分解能
-- mad_atom -- 重原子名
-- rawmadfile -- scaファイル
-- wavelength -- 波長
-- fprimv_mad -- f'の値(佐々木テーブルより求める)
-- fprprv_mad -- f"の値(佐々木テーブルより求める)
-- nres -- 非対称単位中の残基数
-- nanomalous -- 非対称単位中の重原子の数
-RESOLVE
-- solvent_content -- 溶媒含量
-- seq_file -- アミノ酸配列ファイル
** コメント [#ud01a5e3]
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