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 * 構造を決定する [#w555537e]
 構造解析の基本である構造決定に関してまとめます。詳細な手順を網羅することはできませんので各手法についてざっと流れをまとめようと思います。~
 あくまで私の経験に基づいた手順ですので怪しいところもあるかもしれません。その他のご意見もよろしくお願いします。
 
 * 分子置換 [#wb59ebdd]
 ** 分子置換で構造を決定したい [#rdebf374]
 スタンダードにはCCP4のMOLREPまたはPHASERを使います。その他、CCP4のAMORE、EPMRなどがあります。PHENIXやCNSでもできたような・・・CCP4のMrBUMPってのもありますね。~
 そのぐらいポピュラーな構造決定法ですが、ここではMOLREPによる分子置換を例に挙げておきます。~
 大まかな手順は以下の通り
 
 + HKL2000のSCAファイルをMTZ形式に変換する(MOSFLMを使っていれば不要)
 + MATTHEWS_COEFで非対称分子数を見積もる
 + MOLREPで解を探す
 + 解が見つかればREFMACでRigid body refinementを行う
 + 頑張ってモデリング&精密化
 -- マップがそれなりに良好なら(2.3-2.5Åぐらい)COOTのPostMR Extentionを使ってみる
 -- もっときれいならLAFIREを使ってみる
 
 こんな感じになります。
 
 *** 具体的な手順 [#df1b6916]
 + ''HKL2000のSCAファイルをMTZ形式に変換する''~
 [[ファイルフォーマットの変換>../02 ファイルフォーマット]]のセクションを参考にしてSCAファイルをMTZ形式に変換します。この変換はCCP4を使う上では基本の作業なので覚えましょう。~
 XDSの結果をMTZに変換する手順はまだフォローし切れてません・・・
 + ''MATTHEWS_COEFで非対称分子数を見積もる''|
 CCP4iの[Program list]->[Matthews_coef]を使って非対称分子数を見積もります。入力するのは大体以下の項目です。
 ++ MTZFile -- 変換したMTZファイル
 ++ Use molecular weight [estimated from number of residues] -- 私は残基数から計算してます。分子量がわかっているなら[entered in Daltons]でもいいと思います。
 ++ Number of residues -- 残基数(Daltonなら分子量)
 で以下のような結果になります。
  Molecular weight estimated from number of residues: 750 
  Nmol/asym  Matthews Coeff  %solvent       P(3.47)     P(tot)
    1         9.75            87.39         0.00         0.00 
    2         4.87            74.78         0.01         0.01 
    3         3.25            62.17         0.19         0.14 
    4         2.44            49.56         0.65         0.64 
    5         1.95            36.96         0.14         0.21 
    6         1.62            24.35         0.00         0.00 
    7         1.39            11.74         0.00         0.00 
 この結果より非対称単位中の分子数を見積もります。大概のタンパク質結晶では溶媒含量(ここでの%solvent)が25%-70%ぐらいになるみたいなので(範囲外のものももちろん存在しますので注意!)、そのあたりの分子数と見積もります。この例では3,4分子あたりでしょうか。
 + ''MOLREPで解を探す''~
 CCP4iの[Molecular Replacement]->[Molrep - auto MR]で分子置換を行います。ちょっとだけ解説を付けておきます。
 |~Input fixed model|すでにある解を使用するときに使います|
 |~Use sequence     |シーケンスファイルを使います。MOLREPが置換してくれます|
 |>|~'''Search Parameters(NMON,NP,NPT,PST,STICK,LOCK,...)'''|
 |~Search for ...|非対称単位中の分子数を指定します。0は自動です|
 こんなところで探索が行われます。
 + ''REFMACでRigid body refinement''~
 解が求まれば、REFMACでRigid body refinementを行います。この後、マップとモデルを見て、どんな感じかを確認するとよいでしょう。分子が足りなさそうなら、得られた解をFixed modelとしてもう一度探索してみるといいかもしれません。
 + ''精密化''~
 後は精密化を行えば完了!
 
 *** 参考 [#d75b0324]
 - http://enzyme13.bt.a.u-tokyo.ac.jp/molrep.html -- 伏信さんのサイト内。モデル分子の探索方法も書いてあります。
 
 ** モデル分子の検索 [#a5927f78]
 *** PDBからモデル分子を検索したい [#qedcf74c]
 分子置換を行う際にはモデル分子が必要になります。モデル分子の検索はBLASTやFASTAを使いますが、[[PDBのサイト>http://www.pdb.org/]]から検索することができます。~
 - PDBのサイト(http://www.pdb.org/)に行く
 - PDBのサイト( http://www.pdb.org/ )に行く
 - 左側のメニューから[Search]を選ぶ
 - Search Databaseメニューが開いているのでその中の[Sequence]を選ぶ
 - 検索メニューの中のSequenceにアミノ酸シークエンスを入力して[Evaluate Subquery]
 - [Evaluate Query]をクリックすれば一覧が表示されます
 
 * 精密化 [#f0a6ea5b]
 ** 精密化を行う [#xf7fe18a]
 *** CCP4標準ライブラリにない化合物を精密化したい [#w7ab7f13]
 :問題|
 REFMACで精密化を行いたいが、ライブラリに登録されていない化合物のためエラーが出る~
 REFMACでのエラーは以下の通り。
  Your coordinate file has a ligand which has either minimum or no description in the library
  A new ligand description has been added to /home/nobrin/xtal/nn37/CCP4i/tes_39_lib.cif
  Picture of the new ligand can be viewed using postscript file. See above
  Check description in this file and, if satisfied, use it as the input library
  Otherwise either edit bond orders manually or use CCP4i Sketcher to view and edit the ligand
  and create a library entry by running libcheck
  It is strongly recommended that dictionary  entry should be checked carefully before using it
  If you are happy with the library description then use the keyword (MAKE CHECK NONE)
  I.e. do not check correctness of the coordinates
  ===> Error: New ligand has been encountered. Stopping now
   &color(red){Refmac_5.5.0109:  New ligand has been encountered. Stopping now};
 
 :解法|
 エラーメッセージの中にあるように出力されたCIFファイルをLIB inに指定して再度流せば作成されたCIFを使って精密かが行われます。